CDセールスはそろそろボトムを突くであろうし、配信はその下落分を補完しない。360°ビジネスとか言いながら結局マトがずれちゃっているので、ライブやマーチャンダイジング、その他の権利ビジネス、ブランドビジネスもいまいち完成していない。
そんな中、音楽業界に身を置く者として何を考えているかと言うと、簡単に言うとピンチはチャンスということ。完全にではないものの地デジへの移行が図られる今年は、わかりやすいインフラ転換の年だ。言うまでもなく、インフラビジネスに紐づくエンタテインメントビジネスのパラダイムシフトが起こる。(“紐づく”というのは、エンタテインメントコンテンツはインフラビジネスのネタでしかないというビジネス視点からの表現。音楽を仕事としている人の多くは、音楽にインフラビジネスが紐づいているという捉え方をしている場合が多いでしょう。)このシフトのタイミングこそ稀に見る大チャンス。この好機に、オブザーバーでなくプレイヤーの一人でありたいと考えている。
今の若い人達はCDを買わないだとか、子供の頃からデータをHDにアーカイヴするのが当たり前だとか、そんな話ももう散々聞き飽きる程。一つのフォームが終了するのだけれど、まだ新しいフォームが確立されていないということ。だが、新しいフォームの出来上がりを待つのは楽観できることではない。旧態の、つまり終焉を迎えつつある“フォーム”は盤石のものではなかった。前回のエントリーにも記したことだけれど、売るための音楽ばかりが作られる陰で、素晴らしく豊潤な音楽は正当に評価され、享受されて来なかったように思う。新しい“フォーム”を作るときに重要なのは、誰が何のために奏でる音楽をそのフォームに乗せ、どのようにクオリティ・コントロールをして行くかということ。同じ轍を踏んではいけないのだ。
新しい”フォーム”が新しい道筋、道しるべとなることを期待している。
返信削除良い音楽が正当に評価されるのならば、音楽家達が現状に甘んずることもない。
ここしばらく過渡期だった世界が、新たな黎明を迎えるのだろうか。